スランプ・サーフィン

 光野桃の本は殆ど持っていて何度も読み返しますが、どれもこれもじっくり文章を味わいたいものばかり。エッセイを手に取ったときは本当に嬉しくてワクワクします。これから読めるんだ・・・と思うと嬉しくて仕方がないのです。ページが最後の方に近づくと「もう少しで終わっちゃう・・・」と寂しくなるほどでした。


 光野桃が小説を書いているというのを知ったとき、真っ先に思ったことは「うーん私、読むんだろうか・・・」ということでした。文庫になったものを何度も何度も手には取ったんですが、結局買う気になれませんでした。ページをめくる気になれないのです。好きな作家さんの書いた小説ならとびつきそうなものなのに。


 この本を手に取ったときは本当にショックでした。裏表紙に「著者最後のファッション・エッセイ集」とあったのです。信じられない気持ちでそのコトバをじっと見つめていました。買ってもワクワクできない。読み始めてもページが重い。暗い気持ちで読んだ本です。すっかりこの本の存在を忘れたころに光野桃が5年ぶりにエッセイを出版というニュース!というわけでこの本も今度は嬉しい気持ちで読み返しました。5年ぶりのエッセイが文庫になるのを今からワクワクして待っています。


スランプ・サーフィン (文春文庫)

スランプ・サーフィン (文春文庫)